平成30年7月21日に札幌で開催されたAtopic Dermatitis Seminar in Hokkaidoに参加してきました。
今年の4月末に発売されたアトピー性皮膚炎の新薬デュピクセントの話題を中心とした最新のアトピー性皮膚炎の勉強会です。
今までのアトピー性皮膚炎の治療は、抗ヒスタミン剤の内服、保湿、ステロイド外用、プロトピック軟膏の外用、紫外線療法、シクロスポリンの内服といったものが主体でしたが、どうしてもこれだけではコントロールが出来ない患者さんも多くいらっしゃいます。
今回新しく登場したデュピクセントという薬は重度のアトピーの患者さんの4割近くが症状の90%の改善を認め、7割近くの患者さんが症状の75%が改善し、かつ副作用が少ないという夢のような注射薬です。
実際当院でも数名の方で治療していますが、劇的な効果を認めている方もいらっしゃいます。
アトピーの免疫バランスはTh2に傾き、これが炎症に関わるIL-4やIL-13の産生を増強すると言われていますが、デュピクセントはこのIL-4やIL-13、さらには間接的にIL-31というかゆみに関わるタンパクの産生も押さえるため、アトピーの症状を従来の治療よりも根本的なところで改善させることが期待できます。
(図はhttps://www.support-allergy.com/より引用)
今回の勉強会ではデュピクセントの治験にも関わった先生方が、実際の効果や副作用とその対応法、継続や休薬におけるポイント、さらには今後発売が予定されている最新の治療薬についてご講演されました。
あらためて効果が高く副作用が少ない素晴らしい薬だと実感しましたが、実際の臨床で簡単に使えるかというと実はそうではありません。
まず、患者さんの皮膚の状態を点数化し基準を超えた重症の方にしか投与出来ないルールになっています。
また、薬代が3割負担の方で月に約48,000円と非常に高額です(当院でもこれがネックで投与出来ない方がほとんどです)。
そして、現状では小児への適応もありません。
とはいえ、アトピーの治療が大きく進歩しましたことに間違いはありません。従来の治療を長くしっかりと続けているにもかかわらず改善が乏しい重症のアトピーで、かつ金額的な面をクリアできる方はいつでもご相談下さい。